定年退職を迎える1年前、会社から「再雇用制度があるのでどうするか?」と案内されました。
正直なところ、まだ体は元気だし、働けるうちは働いてもいいかなと思っていたのですが——
提示された条件を見て、一気に気持ちが変わりました。
再雇用の給料「三分の一」
退職前に受け取っていた給料から、ざっと三分の一以下。
月にして20万〜30万円台。
しかも内容を見ると、仕事そのものは大きくは変わらず。
責任は軽くなるかもしれないけど、時間や業務量はそこまで減るわけでもない。
「えっ、今までとほぼ同じ仕事でこの給料?」
それが率直な感想でした。
周囲に聞いても「似たりよったり」
この衝撃を誰かに聞いてもらいたくて、同期や友人にも話してみました。
結果は…予想通り。
- 「うちも再雇用になったら半分以下だって」
- 「契約社員扱いで賞与も昇給もなし」
- 「定年前は管理職だったのに、再雇用で雑用ばかり回ってくるって話も聞いた」
もはや“働かせてもらえるだけありがたい”という前提がある制度なんだなと、
どこかで割り切れないまま、悶々としていました。
それなら、自分で終わらせようと決めた
迷いに迷った末、私は再雇用を選ばず、きっぱり退職することにしました。
金銭的な不安がゼロではありません。
でも、「その金額で、同じ場所で、同じように働くこと」がどうしても腑に落ちなかった。
退職を選んだのは、「プライド」や「過去の自分」ではなく、
これからの時間をどう使いたいかという“未来の自分”への判断でした。

働かない、じゃなく「働き方を変える」
退職後、まったく働かないわけではありません。
むしろ時間ができたことで、
以前から興味があったことにトライしたり、短時間の仕事に携わったりしています。
例えば:
- スキルを活かして小さな講師業を始めた友人
- 地元の特産品をネット販売している先輩
- 写真を趣味にして、地元で展示会を開いた人
みんな「生活費を稼ぐため」だけじゃない働き方を見つけているのが印象的でした。
「減った給料に耐えるか」「自分の時間を再設計するか」
再雇用制度を否定するつもりはありません。
経済的な理由や家庭事情があれば、とてもありがたい制度です。
でも、「会社に残る=安全」「辞める=不安」という構図だけでは測れない時代です。
私は「給料が減るなら働かない」というより、
**「その働き方は、自分にとって納得できるか?」**という視点で判断しました。
まとめ
退職してから少し経ちましたが、いま感じているのは、
「定年はゴールじゃなかった」ということ。
再雇用の道を選ばなかったからこそ、
見えなかった世界や、人との出会い、新しい挑戦に触れられた気がします。
もちろん、お金の不安がゼロになることはありません。
でも、心の自由度はむしろ上がったと、今の私は思えています。
もしこれから定年を迎える方がいたら、
「再雇用制度=自動的な延長」ではなく、
本当に自分にとって必要かどうかを、一度ゆっくり考えるのもいいかもしれません。
