今日は年金支給日。
テレビ朝日の『モーニングショー』では、高齢者100人にインタビューし、「年金生活における後悔」というテーマで特集を組んでいました。
誰もが老いていく。
そのとき、どんな生活を送り、どんな気持ちで日々を過ごすのか──。
番組に登場した高齢者たちの言葉からは、想像以上に重く、リアルな現実が垣間見えました。
老後の「誤算」──年金だけでは暮らせないという現実
番組に登場した高齢者たちが語った言葉には、共通する“後悔”の声がありました。
「もうちょっと貯金しておけばよかった」
「厚生年金に入る道を選んでいれば…」
「夫の病気で貯金が消えた」
「働けるうちは働かないと、生活が回らない」
たとえば、一人暮らしで15万円の年金を受け取っている女性は、家賃と光熱費を払うと、手元にはわずかしか残らないと言います。88歳の女性は月に10万円の年金を受け取っていますが、それでは医療費すら満足に支払えないと語りました。
75歳で月4万円しか受け取れないという男性も。「割引弁当を買いだめして冷凍。1日1食で節約している」との言葉には、胸が締めつけられます。
かつて証券マンだった男性は、家業を継いでサラリーマンを辞めたことを後悔。「あのまま会社勤めを続けていれば厚生年金だった」と語っていました。
人生の選択が、老後の生活を大きく左右する──これは他人事ではなく、誰にとっても現実的な問題です。
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SNSに広がる議論──「自己責任論」vs「制度の限界」
放送直後、SNSではさまざまな声が飛び交いました。
一部には「結局、貯金しなかった人が悪い」「若い頃にサラリーマン続けていればよかっただけ」といった“自己責任論”の投稿が並びました。
一方で、「年金だけで暮らせると誤解させた制度の問題」「そもそも制度が破綻している」と、政府や社会制度に原因を求める声も少なくありません。
特に印象的だったのはこの投稿です。
「年金が少ししかもらえないのは国民のせいにするのか?」
「高齢者の声を紹介しながら、あたかも“準備してこなかった人の失敗”と誘導している」
年金だけでは足りないという現実に直面しているのに、支援の声が上がるどころか、“備えなかった人が悪い”という論調が強まっている──これは、日本社会全体の「冷たさ」の象徴とも言えるかもしれません。
しかし、SNSの議論を見ていると一つの教訓が浮かび上がってきます。
それは、「年金制度は、完全に“老後を支えるもの”としては機能していない」という現実です。

“後悔”から学ぶ、これからの人生設計
高齢者の口から語られた「後悔」は、決して一部の人に限った話ではありません。
誰にでも病気や転職、離婚といった人生の変化は起こり得ます。そうしたリスクに備えず「年金があるから大丈夫」と思っていた人々が、今、現実の厳しさと向き合っているのです。
「今はまだ若いから関係ない」
そう思っている人ほど、この問題を他人事にしてしまいがちです。
しかし年金は、「国が老後を面倒見てくれる仕組み」ではありません。
せいぜい“老後の補助”に過ぎないことを、私たちはもっと早くから自覚しておくべきです。
今からでもできる備えとは?
- 会社員なら厚生年金にできるだけ長く加入する
- 無年金・未納期間をできるだけ作らない
- iDeCoやNISAなどで自助努力を始める
- 人生のリスク(病気、離婚、転職)を想定した備えを考える
そして何より大切なのは、「自分の老後をどう生きたいか?」という視点を、早い段階から持つことです。
まとめ
誰もが老後を迎えます。
そのとき、苦しみながら働き続けるのか、穏やかに暮らしていけるのか──その分かれ道は、“今この瞬間”の行動と判断にかかっています。
年金受給者たちの「後悔の声」は、未来の私たちへのメッセージです。
失敗の物語ではなく、“備えることの大切さ”を教えてくれる生きた教材として、真剣に受け止めるべきではないでしょうか。
