先日読んだ、山口周さんの『人生の経営戦略』という本がとても心に響いた。
著者は経営コンサルタントという視点から、「思い通りにならない人生をどうにかうまく生きる」ための20の戦略を提示してくれているのだが、それがまさに「これから」を考え始めた自分にはぴったりの内容だった。
私はいわゆるバブル世代の「猛烈サラリーマン」だった。振り返れば、がむしゃらに働いた日々だった。楽しいこともあったが、正直、きつかったことのほうが印象に残っている。
休みの日も電話が鳴る、終電まで仕事、成果主義に振り回される日々。
それでも当時は「そういうものだ」と思っていたし、会社のために、家族のために、必死だった。
でも、定年を迎えたいま、自分の人生をどう使っていくか、ようやく本気で考える時間ができた。
山口さんの本で特に印象に残ったのは、「人生の目標は“いつか幸せになる”ではなく、“いつも幸せでいる”こと」だという言葉だ。目からウロコだった。私たちの世代は、「老後に備えて、いまは我慢」という考え方が当たり前だった。
でもその“老後”に体力が衰え、自由が効かなくなったら? 楽しい未来が、ただの通院と節約の毎日になってしまったら?――その現実に、自分も無関係ではないと感じた。
本書では「自己効力感」「社会的つながり」「経済的安定性」という3つの資本が幸福の土台だと語られている。定年後は収入が減るかもしれないが、「自分はまだ人の役に立てる」と感じられる活動があれば、まだまだ人生は面白くできる。
誰かとの交流があれば心が温かくなるし、ささやかな経済的ゆとりがあれば、自分らしく過ごす余裕もできる。
そして何より、「人生には春夏秋冬がある」という考え方も新鮮だった。
私はいま「秋」にいる。これまで培ってきた経験や人間関係を広げ、新しいことに挑戦したり、誰かの役に立つことで実りを味わえる時期なのだと考えると、ワクワクする気持ちすら湧いてくる。
定年は「終わり」ではなく、「もう一度、自分の人生を経営し直すスタート」なんだ。
バブル時代のような右肩上がりの幻想はもうない。でも、「いつも幸せ」を目指して、これからはもっと自由に、もっと楽しく、自分の時間を使っていきたい。
この本は、そんな新しい生き方のヒントをくれる素晴らしい一冊だった。過去に縛られず、未来を怖がらず、今を大切に。そんなふうに生きていこうと思う。