ここ最近ちょっとだけ、心がざわざわしていました。
理由があるような、ないような。
定年後のお金ことや、失業保険が終わって職が見つからなかったらどうしようか?
などなど考えなくてもいいことまでぐるぐる考えてしまって。
そんなとき、散歩に出かけてみたんです。
特に行き先も決めず、ただ、外の空気を吸いたくて。
歩くだけで少し落ち着く。
近くの公園まで、ゆっくり歩いて10分。
道端に咲く草花、風に揺れる木の葉、
耳に入ってくる子どもの声。
何気ない景色の中に、少しずつ気持ちがほぐれていくのを感じました。
公園のベンチに腰かけて、ただぼーっと空を眺めていたとき。
すぐ足元に、猫が現れたんです。
ゆっくりと近づいてきた猫。
白と茶色が混じった小柄な猫。
どこから来たのかもわからないけれど、
こちらを警戒するでもなく、まっすぐこちらを見ていました。
声をかけるでもなく、手を伸ばすでもなく、
私はただその猫を見つめました。
すると猫は、ふいに私のすぐ隣まで来て、ちょこんと座ったんです。
少し驚いたけど、不思議と怖さはなくて。
むしろ、心の奥にあったざわざわが、すーっと引いていくような感覚がありました。
「大丈夫だよ」と言われた気がした。
猫は5分ほど、ただ静かにそこにいて、
やがて気が済んだように立ち上がり、またふらりと歩き去っていきました。
私はそのあともしばらく動けなくて、
ただその余韻の中で、深く深く息をついていました。
言葉は交わしていないけど、
なんだか「大丈夫だよ」と言われたような気がしたんです。
猫に会っただけの日
それだけなのに、心がふっと軽くなることってあるんだなと思いました。
たぶん猫は、何も特別なことなんてしてないんです。
ただ、そこにいてくれただけ。
でも、誰かがそばにいてくれるって、
それだけで救われる瞬間が、確かにあるんだと思います。
今日はなんだか、そんな静かな優しさに出会えた一日でした。
ありがとう、あの猫さん。
